B型慢性肝炎について
【検査について】
1.血液検査
1)血液一般 血小板である程度の肝炎の進行度が分かります。
2)生化学検査
AST(GOT)、ALT(GPT)で現在の炎症の程度が分かります。アルブミン、コレステロールなどで肝炎の進行度がある程度分かります。γ-GTPでアルコールの影響が分かります。
2.ウイルス学的検査
HBs抗原・・・ 陽性者はB型肝炎ウイルスが体内に存在する
HBs抗体・・・ 陽性者は過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがある
HBe抗原・・・ 陽性者は感染力が強い
HBe抗体・・・ 陽性者は感染力が弱い
HBc抗体・・・ 高力価陽性者はキャリアー
HBV-DNA・・・ 肝炎の活動性、肝がん発がんリスク推定などに有用
以上の検査を組み合わせてB型肝炎かどうか、現在の状態などを診断します。
3.腹部超音波検査
肝炎の進行程度、肝臓がんの早期発見に有用です。慢性肝炎の人は少なくとも6ヶ月に一度、肝硬変の人は3ヶ月に一回程度は受けた方が良いでしょう。
4.腹部CT検査
肝臓がんの早期発見に有用です。
腹部超音波検査で肝がんの発生が疑われる人や、腹部超音波検査で分かりにくい部分のある人に有用です。
5.肝組織検査(肝生検)
肝炎の進行程度、炎症の度合いなどがわかります。肝硬変に進む危険性がどの程度あるかなどがわかります。
治療について
【B型肝炎の治療方法】
ウルソデオキシコール酸(ウルソ) ・・・ 抗炎症薬
強力ミノファーゲンC(強ミノ) ・・・ 抗炎症薬
インターフェロン ・・・ 抗ウイルス
ラミブジン(ゼフィックス) ・・・ 抗ウイルス
アデホビル(ヘプセラ) ・・・ 抗ウイルス
エンテカビル(バラクルード) ・・・ 抗ウイルス
テノホビル(テノゼット、ベムリディ)・・・抗ウイルス
などがあります。
B型肝炎の治療のB型肝炎の治療方法の中のエンテカビル
エンテカビルは抗ウイルス作用が強く、その効果がとても期待されています。(2006.9.21に発売されました)
その抗ウイルス作用はラミブジンより強力で、副作用は頭痛、上気道炎などですが軽度とされています。
ラミブジン耐性ウイルスではエンテカビルにも耐性のウイルスが出現する可能性があり(二重耐性)、ラミブジン投与歴のない症例からはエンテカビル耐性株は今のところ報告されていません。
従いまして、ラミブジン投与歴のない症例ではエンテカビルが第一選択薬です。
ラミブジン
ラミブジンは2000年から使用できるようになったお薬で、抗ウイルス作用が強く、その効果がとても期待されています。
しかし、一旦飲み始めると一生飲み続けなければならないことが多く、勝手に中止するとウイルスが急に増えて、とても危険な状態になります。また、耐性株といってこのお薬が効かないウイルスが出現することもあり、肝臓の専門家によるお薬の処方、経過観察が必要です。
作用機序
逆転写酵素阻害剤:DNA合成の途中で逆転写酵素に結合して、それ以上の合成を不可能にする。
ラミブジンの問題点
- HBVの完全駆除は不可能
- 投与中止後のHBV再増殖、増悪(肝不全)
- 耐性株の出現(6-8ヶ月で出現)
- 慢性肝炎以外の病態に関して
ラミブジンによるB型肝炎ウイルス(HBV)の陰性化
HBV | 陰性化率 | 陰性化までの期間 |
---|---|---|
>8 | 38% | 3.5M |
7-7.9 | 88% | 3.0M |
<6.9 | 100% | 1.8M |
アデホビル
アデホビル(ヘプサラ)は2004年12月より使用できるようになったお薬です。
海外では第一選択薬として使用可能ですが、日本では、ラミブジン投与中に耐性ウイルスが出現し、肝機能異常が認められる症例に限られ、ラミブジンとの併用が条件とされています。
また、アデホビル投与開始後、抗ウイルス作用が出現するまで時間がかかるため、進行した慢性肝炎や、肝硬変症例には早めの投与が必要です。
いずれにしましても肝臓専門医によって管理され投与されるべきお薬です。
エンテカビル
エンテカビルは抗ウイルス作用が強く、その効果がとても期待されています。(2006.9.21に発売されました)
その抗ウイルス作用はラミブジンより強力で、副作用は頭痛、上気道炎などですが軽度とされています。
ラミブジン耐性ウイルスではエンテカビルにも耐性のウイルスが出現する可能性があり(二重耐性)、ラミブジン投与歴のない症例からはエンテカビル耐性株は今のところ報告されていません。
現時点では肝炎治療の第一選択薬になると思われます。
テノホビル
現時点では肝炎治療の第一選択薬。